サウナ短歌
草津の湯効仙薬湯オーブンに入ればわたしタンドリーチキン
ラッコちゃんの目玉風呂|草津の湯と効仙薬湯
大乱闘!サウナヤミ市に参加するために、約1ヶ月ぶりに湯乃泉 東名厚木健康センター(以下、ラッコちゃん)を訪れた。
大乱闘!サウナヤミ市のことはあとで詳しく説明するとして、その前にまずはサウナだ。
相変わらずラッコちゃんのサウナは最高だった。サウナ室の温度は96度と女性用のサウナにしては高温だ。女性用のサウナの平均温度は86度(当方調べ)なのでラッコちゃんのサウナがいかに高温かが分かると思う。
これが街の気温なら、10度も違うと季節が変わってしまうので衣替えをしなくてはいけない。春が来たとよろこんでいたら、梅雨を通りこしてもう真夏ですという温度差だ。
高温なのでサウナが苦手な人にはおすすめしないが、短時間でガツン!と熱を浴びたいというマッチョな人には猛烈におすすめする。入った直後から汗が吹き出してくる爽快感は一度味わうとやみつきになる。思い出すとよだれが出てくる。
ラッコちゃんの良いところはサウナだけではない。こちらの記事で紹介した塩サウナもおすすめだし、「湯乃泉」という店名から分かるとおりにお風呂のお湯も良い。
ラッコちゃんには2つの目玉風呂がある。
ひとつは草津温泉の露天風呂だ。草津温泉から直送された源泉有効成分の浴剤が入っているので、神奈川県にいながら本場草津の温泉が手軽に味わえる。
本場の草津温泉はph2.1と酸性度が高いことで知られている。ph2.1はレモンとほぼ同じくらいの酸性度で、草津温泉の源泉に一円玉しずめておくと一週間ほどで溶けてなくなってしまうほどの威力がある。
ラッコちゃんの草津温泉はお湯を足して調整されているので同じphではないと思うが、本場の草津温泉と同じように古い角質がはがれやすくなってお肌がつるつるになる。
もうひとつの目玉風呂は効仙薬湯だ。こちらは8種類の生薬を独自の技術で配合したスパイシーなお風呂になっている。湯船の底がまったく見えないほど濃い黄土色の薬湯に近づくと生薬特有の土草のにおいがする。この香りをかぐだけでありとあらゆる万病が治るような気がしてくる。
実際にこの効仙薬湯は、あせも、打ち身、肩こり、腰痛などを持っている方によろこばれているそうだ。それだけではなく、十円ハゲや眉間のシワといったストレス性の諸症状もやわらぐような気がするのは気のせいだろうか。
事実、ラッコちゃんの常連のお年寄りはみんなイキイキとしている。昼間からラッコちゃんの食堂で食べて飲んで、ビンゴ大会で大盛りあがりしている姿を見ていると、身体もこころもすこぶる元気だと感じる。
2つの目玉風呂以外にも、炭酸泉、ジェットバス、水風呂、電気マッサージ風呂……とお風呂の見本市かのようにたくさんの種類のお風呂がある。
この日わたしは、迷わずに草津温泉の露天風呂へと向かった。露天の岩肌をごぼごぼと流れるかけ流しのお湯の音が耳をおだやかに満たした。目をつむると草津の湯畑の前にいるような気分になる。なんて贅沢な時間だろう。ここは厚木だというのに。
あいだにサウナと水風呂と外気浴をはさんで効仙薬湯にも入った。バンショウ、ウイキョウ、ショウキョウ……とカレーのスパイスに似た生薬のお風呂にはいっていると、酸性の草津温泉のおかげででやわらかくほぐれた身体にスパイスが染み込んでくるような気分になる。
あとはサウナという名のオーブンに入ればタンドリーチキンの出来上がりだ。温度は最低でも200度はほしいところだけれど、サウナなのでしょうがない。96度で妥協してじっくり焼き上げた。
吹き出す汗のせいでパリッと焼きあがらなかったのが残念だ。
サウナヤミ市の楽しみ方|何も買わなくても楽しい
本厚木駅からラッコちゃんへ向かう道の途中、日陰のないコンクリートの道路を30分ちかく歩きながら、わたしは大乱闘!サウナヤミ市で何も買わないだろうなぁと思っていた。
大乱闘!サウナヤミ市は、全国の有名なサウナ施設やサウナに関わる人達が集まってサウナグッズを販売するサウナマーケットで、今回で5回目の開催になる。
サウナグッズと聞いてピンとこない人も多いかもしれないが、わかりやすいところで言うとサウナハットと言うサウナでかぶる専用のフェルトでできたハットがある。サウナの熱から頭を守ってくれる優れものだ。
サウナ施設のロゴが入ったデザインTシャツもかわいい。その他にも、サウナの香りがするスモークアロマなんて珍しいものもあった。一見サウナと関係のなさそうなビカクシダも販売されていて、このごった返した感じがヤミ市という名前の由縁なのだろう。
グッズを買ってサウナ施設さん達がうるおうのならば協力したいところだけど、買い物にこだわりが強い自分自身の性格を考えると、きっと何も買わずに帰るのだろうという気がしていた。
ラッコちゃんの5階に設営されたサウナヤミ市の会場から伸びた行列はらせん状の階段にそって地下1階の宴会場まで続いていた。さらに宴会場ではつづら折りになって列が伸び、最後尾はふすまで仕切られた2つ目の宴会場の一番奥にあった。
そこからサウナヤミ市の会場に入るまで2時間並んで、そして会場に入ってぐるっとひととおりサウナグッズを見てまわって、最初の予想どおりに何も買わずに帰った。
いったい何をしに行ったんだ!?と思われるかもしれない。だけど、何も買わなくても満足感を得られた。それがサウナヤミ市のすごいところだった。
一番うれしかったのは、錦糸町にあるニューウィングという有名なサウナの支配人 吉田さんに声をかけてもらったことだ。
サウナヤミ市の当日、わたしはサウナグッズ研究室のオリジナルウェアお散歩カンフーシャツを着て行った。サウナグッズを着て行くことでイベントのにぎやかしになればいいなと考えてチョイスした洋服を「そのカンフー、いいね」とほめてもらえただけでサウナヤミ市に行ったかいがあった。
ところでお散歩カンフーシャツは、サウナ関係者以外からもよくほめられる。アパレルショップの店員さんから何度か「その服いいですね」とほめられた。その度に、自分で作ったわけでもないのにほこらしい気持ちになる。
サウナグッズ研究室のアパレルグッズは、サウナのようなリラックス感のある着心地とワンマイルウェアにぴったりのファッション性が両立していて本当におすすめなので、サウナ好き以外の方にも手にとってもらいたい。
そしてもうひとつ、サウナが好きな仲間たちに会えたこともうれしかった。普段ひとりでサウナに行くわたしは、サウナが流行っていると聞いてもいまいちピンとこないでいた。
それが5階から地下1階まで続く長い行列をつくるほどのサウナー達を目の当たりにしてやっと実感がわいてきた。
サウナーに会えたからと言ってあえて新しくサウナ友達をつくるわけではないけれど、サウナヤミ市で出会ったサウナ好きの仲間たちがこれからも末長く快適にサウナを楽しめますように、と心から願わずにはいられない。
世界的な感染症の影響は、サウナ施設を苦境に追い込んでいる。
サウナを楽しめる環境を維持するためにわたしができることは、これからも末長くサウナに通い続けることと、こうやって読むサウナを書き続けることだ。読むサウナを読んで、サウナに行ったことがない人にもサウナの気持ち良さが伝わってくれたらうれしい。