わたしはサウナの前にかならず一度は湯船にはいることにしている。
銭湯の広い湯船にひとり浸かって眺めるのは目の前を行き来する裸体だ。こんなことを書くと今後一切の銭湯から出禁をくらいそうだけど、わたしは湯船につかりながら見るとも見ないともわからないような目で人々の裸体を見てる。見ながら「なるほど」と思っている。
太っていても「なるほど」垂れていても「なるほど」黒くても「なるほど」。
全ての裸体はうつくしく、それぞれに納得感をもって見ていられるのだ。
冬のとある日、中目黒のスターバックスリザーブの180分待ちの受付券を、受け取った瞬間に小さく折りたたんでポケットの奥にしまい込み光明泉へ向かった。
2014年にリノベーションされたという施設は、6年経ったとは思えないほどピカピカで新築然としていた。
偶然なのか場所柄なのか、浴室内には建物と同じくらいぴかぴかの肌の若い女の子がわっと集まってぴかぴかの肌をもっとぴかぴかに磨いている。手入れの行き届いた白いタイルに桃色の肌を反射させて、わたしはひとりバイブラに揺られながら眩しさに目を細めた。
この日のことを思いだすと、なぜか桃源郷を思い出してしまう。
ここで本日のサウナ短歌を一首。
水のなか透き通りたる桃色の若さに恋する思春期男子
この記事がイイね👍と思ったらポチお願いします。