気分が下向きな時、つられて視線も下を向いている。心身一体という言葉があるが、なるほどと思う。
確かに、マンガでは、主人公が落ち込んでいる場面で、下を向いている姿が描かれる。やさぐれているときは、タバコをふかしながら上を向いていたりするが、これは上を向いてるだけで、上を見てはいない。力が抜けて首が据わらなくなってしまったから、だらりと上を向いているだけで、あの目はやさぐれた自分の内面を見ているのだ。だいたい、下向きにタバコをふかしたら、煙が顔にかかるので煙たくてしょうがない。
サウナから出ると、空を見上げたくなる。下駄箱で靴を履き、のれんをくぐる。さっぱりとした顔に心地よい風があたり、空を見上げる。不思議なことに、サウナ帰りに上を向くのは100%絶対なのだ。銭湯から出て下を向いている人を、私は見たことがない。もしいたとしたら、エクストリームな入浴をしたせいで貧血を起こした人だろう。
気分が下向きになると視線も下向きになるのは、気分→行動だ。当然、逆の因果関係もある。行動→気分。のれんをくぐって空を見上げると、自然と気分も上を向く。だから、サウナーは朗らかな人が多い。