【サウナ短歌】帰り道に空を見上げたサウナ

 気分が下向きな時、つられて視線も下を向いている。心身一体という言葉があるが、なるほどと思う。

 確かに、マンガでは、主人公が落ち込んでいる場面で、下を向いている姿が描かれる。やさぐれているときは、タバコをふかしながら上を向いていたりするが、これは上を向いてるだけで、上を見てはいない。力が抜けて首が据わらなくなってしまったから、だらりと上を向いているだけで、あの目はやさぐれた自分の内面を見ているのだ。だいたい、下向きにタバコをふかしたら、煙が顔にかかるので煙たくてしょうがない。

 サウナから出ると、空を見上げたくなる。下駄箱で靴を履き、のれんをくぐる。さっぱりとした顔に心地よい風があたり、空を見上げる。不思議なことに、サウナ帰りに上を向くのは100%絶対なのだ。銭湯から出て下を向いている人を、私は見たことがない。もしいたとしたら、エクストリームな入浴をしたせいで貧血を起こした人だろう。

 気分が下向きになると視線も下向きになるのは、気分→行動だ。当然、逆の因果関係もある。行動→気分。のれんをくぐって空を見上げると、自然と気分も上を向く。だから、サウナーは朗らかな人が多い。

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この記事を書いた人

サウナ短歌の第一人者。サウナスパ・プロフェッショナル。公衆浴場コラムニスト。お問い合わせはインスタ・TwitterのDM、またはHPの問い合わせフォームからお願いします。

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