【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜「幸福」を絵に描いてみたら

※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。

海外のクリスマスツリーを見るのが好きだ。

海外のクリスマスの飾り付けに初めて出会ったのはドイツでのことだった。
ドイツではクリスマスの1ヶ月前からクリスマスの飾り付けが始まる。とあるお店の前を通りかかった時に、あまりにも大胆な飾り付けに心を奪われた。
モミの葉と、赤い大きなリボン、それから金色の大きなプレゼントボックスがお店の前の壁を埋め尽くしていたのだ。3つのアイテムが飾り付けられているだけのシンプルなものだけどインパクトがあって通りの向こうからでも目を引いた。
リボンもプレゼントボックスを模した飾りも50cmくらいの大きさで、子どもの頃にこんな大きなプレゼントをもらうことを夢見ていたこともあってワクワクした。

対して、日本のクリスマスの飾りつけは色を多用した派手なオーナメントや電飾など少々子どもっぽいものが多いように思う。

クリスマスの飾りはシンプルなほど夢が広がっていく、というのがわたしの持論だ。


ウラジオストクに着いたのは12月20日。
クリスマスの目前とあって街は夏に来たときとは全く違う姿になっていた。
夏に来た時は夜になってもまだしばらく明るかったけれど、12月のウラジオストクでは18時前には日が沈んでしまう。
ホテルに着いて荷物を簡単に片付け、夕飯を食べようと外に出た時にはあたりは真っ暗になっていた。

ホテルの近くにごはん屋さんがないか適当にウロウロしてみるけれども、暗くなってしまった街中ではどれがごはん屋さんなのかも分からない。ロシア語が読めないので看板からごはん屋さんを探すことはできない。さらに悪いことに、ロシアのお店は通りに面して窓があるお店が少ないので、窓から店内をのぞくことができず外から中の様子を伺うこともできない。

そこで夏に来た経験を活かして、ウラジオストクの中心地にあるStudioという若者に人気のレストランに行くことにした。ここなら前回来た時にお店の前を何度か通ったので地図を見なくても辿り着ける。しかもウラジオストクといえばStudioというほどの人気店だから味も間違いないはず。
地元風を吹かせながら「こっちこっち。」と友人を案内した。


店内はロシア人や韓国人の若者でいっぱいだった。
どちらも体格がいいので、わたしたちがものすごく幼く見える。わたしは身長が160cmあるので日本では小さい方ではないけれど、この国に来るとすごくすごく子どもになったような気分になる。ガリバーの巨人の国に来たような感じだ。

お店の人は、そんな私たちを子ども扱いせずにスマートにコートを脱がせて席へとエスコートしてくれた。

案内された席の目の前にクリスマスツリーが飾られていた。
目にした瞬間に、この国のクリスマスツリーもシンプルで素敵だ、とうれしくなった。

薄暗い店内で淡く光るツリーはとても可憐だった。
ドライフルーツのレモンの輪切りと、赤いチェックのリボン、そして木製の雪の結晶のオーナメントという地味な飾り付けではあるけれども、淡い豆電球の灯りに照らされると何とも言えず優しい雰囲気をかもし出していた。
もし「幸福」というテーマで絵を描きなさい、と言われたらこのツリーを描く。

わたしたちはクリスマスツリーの淡い灯りの中で2時間ほどの食事を楽しんだ。