【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜ぬれたマスクをそっと手渡す

※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。

わたし達は、朝食を食べ終わったその足で鷹の巣展望台へ向かった。

なぜ鷹の巣展望台という和名が付いているのかは、よく分からない。
ナントカリャーノフ展望台とかだったら分かるのだけど、とにかくどのガイドブックを見てもGoogle Mapで調べても鷹の巣展望台と紹介されている。

鷹の巣展望台とは、その名の通りウラジオストク市内が一望できる高台にある展望台で、市内だけではなく、その先に広がる金角湾や金角湾にかかるゾロトイ・モストという美しい橋もきれいに見えるウラジオストクで一番の観光スポットだ。


朝食会場を出たのは朝の8時。まだ日が昇る前だった。
薄闇の中で時々地元のロシア人とすれ違う。みんなこの暗がりの中を通学したり出勤したりしているのだろう。ニットの帽子をまぶたの上ギリギリまでかぶり白い息をはきながら街の中心地へと歩いて行く地元の人々とは逆方向に向かって、わたし達は鷹の巣展望台を目指して急な坂道を上りはじめた。

ウラジオストクは極東のサンフランシスコと呼ばれるほど坂道が多い。
しかもかなりの傾斜の坂道が延々と続くので、ウラジオストク観光に行かれる際はぜひ履きなれた運動靴を履いて行くことをおすすめする。

寒さ対策のためにマスクをつけて坂道を上りはじめたのだけど、これが結構苦しい。Google Mapを片手に鷹の巣展望台を目指しているのだけど、Google Mapでは傾斜がわからないので、この急な坂道がどこまで続くのか見当がつかない。
はあはあ息を切らしているせいで、マスクの中は呼気でびっしょりとぬれてしまった。

さらに外気はマイナス10℃以下である。
ぬれたマスクの水分が外気に触れてどんどん冷たくなっていく。

冷たい空気が肺に入るとよくないとどこかのネット情報で見たのでマスクを着けてみたものの作戦は失敗のようだった。
マスクはスポンジタイプで、外して手に持つとしっかりと水分をたたえている。

「ちょっとこのマスク触ってみて」

友人に手渡すと、冷たくぬれているマスクにびっくりした顔をした。

「それ、わたしの息でぬれたんだ」

友人は、わっ!とマスクを投げ返した。

「それって、ヨダレってことじゃん!」

……確かにそうかも。


友人には申し訳なかったが、冬のロシアではマスクは役に立たないことがわかった。


ちなみに、マフラーもあまりおすすめしない。冬のロシアはタートルネックとしっかりした作りのコートとニット帽があればOKだ。
まぁ、冬のロシアの装いについてはまた今度。

次回は、いよいよ鷹の巣展望台に上ります!(上れるのかな?)