【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜雪化粧のドンタコス

ウラジオストクにはマクドナルドがない。

マクドナルドは2010年の時点で世界121ヶ国に出店している。
世界中の国の数は196ヶ国なので、マクドナルドは60%以上の国に出店していることになる。

そう考えると、人口約60万人ほどのウラジオストクにマクドナルドが一件もないのは少し不思議だ。

ちなみに同じロシアでもモスクワに行けばマクドナルドはある。
ロシアの国内で、ヨーロッパに近いモスクワと、中国や北朝鮮に近いウラジオストクに何か違いがあるのかもしれない。
例えば資本主義への抵抗とか。

でも、バーガーキングはあるんだよなぁ……。


チェーン展開しているお店が少ないことは、旅行者にとって良いことだ。

こんな経験はないだろうか?
香港に行ったらセブンイレブンだらけだったとか。
シンガポールでビールを頼んだらアサヒスーパードライを勧められたとか。

どちらも実体験だ。
アサヒスーパードライを勧められた時は、さすがに断った。
「わたしはシンガポールに日本のスーパードライを飲みに来たわけではないのです。現地で人気があるビールを教えてもらえませんか?」と。

何が悲しくて、わざわざシンガポールまで来たのにアサヒスーパードライを飲まなければいけないんですか。
「それ、毎日飲んでますから」と言ったら、屋台のおばちゃんは「スーパードライがおすすめなのに」と言っていた。

海外の食事情なんてそんなものかもしれない。
わたしもアサヒスーパードライが美味しいことは分かっている。それでも現地の今まで飲んだことがないビールを飲みたいのだ。

……そんな感じで、もし旅行に行った先が日本でおなじみのマクドナルドやセブンイレブンだらけだとがっかりするけど、チェーン店が少ないウラジオストクではがっかりすることが少ない。

通りに並ぶお店のほとんどが初めて見るものばかりで楽しい。
これでこそ飛行機に乗ってウラジオストクまで来たかいがあるというものだ。

看板の文字が読めないからそのお店たちが何屋さんなのかは分からないけど、それが楽しい。
未知のものに出会うこと。それこそが旅行の醍醐味だ!

わたしが1年に2回もウラジオストクにやって来たのは、そんな未知の世界に惹かれたからだと思う。


そんなふうにぶらぶらとウラジオストクの中心街を散歩していると、突然目の前にあるはずのないものが現れた。

ここはマイナス10℃の極寒地なのに、熱帯砂漠にあるはずのサボテンがいる。
ドンタコスみたいな帽子をかぶってサングラスをかけたアミーゴアミーゴなサボテンが、うっすらと雪化粧されていた。

そういえば、エストニアでもドンタコスなサボテンに会った気がする。

今、世界ではメキシカンが流行っているんですか?