※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。
ウラジオストク駅のホームへは、切符を持っていなくても無料で入ることができる。
雪がちらつく中、ウラジオストク駅の何もないホームでぶらぶらと探索をしていると、列車が入ってきた。
車体には、ロシアの国章である双頭の鷲のレリーフが描かれている。
もしかして、この列車はウラジオストク駅を出発して、はるか彼方9,000Km先のモスクワまで行くのではないだろうか。
シベリア鉄道は、一度は乗ってみたい憧れの列車だ。
この旅行記事を書いているうちに、水野晴郎のシベリア超特急を見たくなってしまったが、残念ながらAmazonプライムやNETFLIXといった動画配信サービスでは視聴できないようだ。
今どきDVDかVHSじゃないと観られないなんて、もったいぶった感じがいかにもシベリア超特急ぽい。
……シベリア超特急はともかく、シベリア鉄道に乗ってみたくても、わたし達はシベリア鉄道に乗ることができない。
なぜなら、簡易的な電子観光ビザしか持っていないからだ。
観光でロシアに入国するには、観光ビザが必要になる。
発行を急がなければ無料で取得できるが、ロシア大使館に行かなければいけないので少しハードルが高い。
ところが、ウラジオストクがある沿海地域をはじめとした諸地域では電子ビザというオンラインで申請できる簡易的なビザでの入国が認められている。
こちらも申請料は無料だ。
ロシア大使館のHPから日本語で簡単に申し込める上に、発給までのスピードも早い。観光ビザが11営業日以上かかるのに対して、電子ビザは大体1〜2日で取得できる。
ただ、電子ビザは入国した地域の外へ移動してはいけないことになっているので、ウラジオストクから入国した場合、シベリア鉄道に乗ってウラジオストクの外に出ることは許されないのだ。
もし、シベリア鉄道に乗りたければ、観光ビザを取得する必要がある。
そんな訳で、わたし達は目の前にある列車を指をくわえて見ていることしかできなかった。
ウラジオストクからモスクワまで鉄道で移動する場合は、大体7日間かかる。
シベリア鉄道の旅を夢見ている人は多いと思うが、実際に7日間も乗ることを考えると、想像だけでおなかいっぱいになるに違いない。
車窓からの風景に心を踊らせるのは最初の1時間が限界だろう。
代わり映えしない景色と、凝った趣向のない鉄道の中はすぐ飽きてしまうはずだ。
それでも、シベリア鉄道でロシアを横断するツアーをあちこちで見かける。
20万円ほど出して7日間電車に乗りっぱなしだ。
ツアー案内のスケジュール欄には、ひたすら「終日車内で思い思いにお過ごしください」の文字が並んでいる。
シベリア超特急のように、車内で事件でも起きれば間が持つかもしれないが、たいていの場合は思い思いに過ごすにも限度がある。
もし挑戦する機会が訪れたとしたら、シベ超のDVDを全シリーズ持ち込んで挑みたい。