【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜いつまでも遠い灯台

※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。

ウラジオストクの半島の南端に、トカレフスキー灯台がある。

周りには何もない。海に突き出した細長い砂利道の先端に小さな灯台がポツンとあるだけだ。
だけど、写真で見る寂しげなトカレフスキー灯台の佇まいには惹かれる。
周りに何もない方が灯台の魅力が増すのだと思う。


ウラジオストク駅の前でタクシーを拾い、トカレフスキー灯台へ向かった。

ウラジオストクのタクシーはいい加減だ。
お昼時だったせいか、タクシー乗り場に停車しているほとんどのタクシーは乗務員が乗っていない。

窓ガラスごしに乗務員がいることを確認してタクシーに近づくと、しかめっ面で首を振ってくる。今は営業していない、ということらしい。

いくつかのタクシーにアタックして、最終的には半ば強引に車を出してもらった。海外では多少の強引さが必要だ。

タクシーの運転手さんは英語が通じないことも多い。
市内でタクシーを拾って「空港へお願いします」と英語でお願いして伝わらなかったことがある。

「Airport!」と繰り返しても伝わらない。エアポート以上に簡単な単語なんて見当たらない。これ以上なんと言えばいいのか。

そこで、腕を広げて「ヒコーキ!ね!」と飛ぶ真似をしながら日本語で訴えてみた。すると、運転手さんはニコッと笑顔で「飛行機ね。空港かー。OK,OK」と言った……ように聞こえた。何しろロシア語なので実際なんと言ったかは分からない。

それでも、ナビを手早くセットして自信満々に走り出した。
わたしはというと、本当に空港だと分かってくれたのか半信半疑で、空港へと続く見慣れたハイウェイに入るまではドキドキしていた。

海外旅行で、現地語が分からない時、英語圏だとしても英語がしゃべれない時、皆さんはどうしていますか?

わたしのおすすめは、断然、日本語で話すことです。
これが意外と通じます!なぜか会話が成立することもあります。
黙ってモジモジしているよりもずっとずっと良いです。ぜひお試しあれ。


トカレフスキー灯台の少し手前の駐車スペースにタクシーを止められられたので、灯台まで歩いて向かうことになった。

すぐに着くかと思いきや、歩いても歩いても灯台はまだ遠い。
おまけにまた雪が降り始めた。気温はマイナス12℃だ。もこもこに着込んでいるから寒くはないものの、まつげに雪が積もって視界を遮る。

2分ほど歩いたところで「もう、いいだろ」と手に持っていたビデオカメラのスイッチを切った。
国内海外どこへでも気になったところに出かけていくフットワークの軽さがある反面、とにかく飽きっぽいのだ。

全く近づけない灯台を遠くから拝んで、タクシーへと戻った。