【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜アフターコロナに行きたいバーニャ

※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。

ロシアのサウナはバーニャといって、一棟のバーニャを仲間で貸し切りすることが多いようだ。

バーニャの中にはサウナ室付きの別荘といった感じだ。キッチンこそ無いけれど、リビングもあるしトイレもある。家族や仲間で休日を過ごすにはもってこいの施設だ。

わたしが行ったのは、バーニャ・モーリェという海辺のバーニャで、
ログハウスの中に入ると、木の温もりにあふれた素朴なリビングがあった。

バーニャの中は、外の寒さを一瞬で忘れてしまうほど温かい。
何枚も着込んだ服を脱ぐと、身体が軽くなった。ほっとする。


ウラジオストクでのわたしの服装はこんな感じだ。

頭には、ニット帽。ロングダウンコートのフードもかぶる。

ボディは、メリノウールのインナーの上に、薄手のタートルネックニットを着て、肩甲骨の間にカイロを貼る。その上からさらに厚手のタートルネックを着る。

下半身も、まずメリノウールのスパッツを履いて、その上から裏ボアの防風パンツを履いた。靴下は5本指のヒートテック靴下の上からメリノウールの極厚手のパイル靴下を履いて、ブーツの底にカイロを仕込んだ。

何せマイナス12℃の世界なのだから、やりすぎだと思うくらいでちょうどいい。
特に、寒がりの人ならなおさらだ。

屋外では、このもこもこがちょうど良い具合で、快適に街歩きを楽しめた。


だけど、知らず知らずのうちに服の重さで肩が凝っていたのだと思う。
バーニャのリビングでメリノウールの肌着一枚になると、全身に取り付けた筋肉増強エキスパンダーを外した後のように、身体が軽い。

そして、わたし達はおもむろに水着に着替えた。
備え付けのサウナハットをかぶって、サウナ室の中にはいる。

極東の海辺に、まさかこんなに熱いサウナがあるなんて、不思議な感じがする。

サウナ室の中は思った以上にしっかり熱くて、じりじりと汗が吹き出してくる。

バーニャにはテレビも有線も無い。
小さな窓からの明かりだけが静かにサウナ室を照らしている。
極上の瞑想空間だ。

熱くなったら、備え付けのシャワーを浴びて軽く身体をふき、リビングに戻る。

そこで、お茶を飲んだり、友達と談笑したり、リビングの窓から外の雪景色を楽しんだりする。

遠くには海が見える。灰色の見るからに冷たい海だ。
1月になると一面が凍ってしまうらしい。そのころに、またこの場所に来たいと思った。

身体が冷えてきたら、またサウナに戻る。

贅沢なルーティンを繰り返しながら、2時間ほどバーニャで過ごした。

ウラジオストクにはモーリェ以外にも良いバーニャがいくつかあるらしい。
また、絶対に行くつもりだ。

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この記事を書いた人

サウナ短歌の第一人者。サウナスパ・プロフェッショナル。公衆浴場コラムニスト。お問い合わせはインスタ・TwitterのDM、またはHPの問い合わせフォームからお願いします。

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