この度、小冊子「Follow me to the Sauna」を発売いたします。

Follow me to the Sauna
あひるちゃんが誘(いざな)う はじめてのサウナ体験
入店からサウナ、水風呂、外気浴、そして帰路まで、サウナの一連の流れを短歌で表現したZINE(小冊子)です。
サウナで出会う人々、サウナで味わう至極の体験を、短歌という日本古来の文学で表現しました。
ディープな疑似サウナ体験を、ぜひお楽しみください。
2022年3月下旬からZINE専門店MOUNT ZINEにて販売開始いたします。
※リアル店舗、オンラインで購入可
この記事では、発売を記念して、ZINEが出来るまでの工程を振り返ります。
ZINEって何?
ZINEは、個人や小規模のグループが発行する小冊子のことです。英語のMagazine(雑誌)やFanzine(同人誌)が語源だと言われています。発行数が少なく、一般の書店には流通しません。ZINEの専門店や、個人での販売が主です。
個人的には、イラストやデザインなどアート色の強いZINEが多いように感じています。

ZINEとの出会い
私が最初にZINEに触れたのは、由縁別邸 代田という旅館に併設されたサウナを訪れた帰りでした。
サウナ後の散歩がてら、小田急線の代田駅から田園都市線の駒沢大学駅へ足を延ばし、ZINEの専門店MOUNT ZINEに遊びに行きました。
お店一面に飾られた大量のZINEは、どれも面白く、ついお店に長居してしまいました。販売されているZINEは全てサンプルが閲覧できるので、ぜひ実際にお店を訪れてみてください。
ZINEの魅力は希少性
当時、念願だったKindle出版を果たし、POD(オンデマンド印刷)サービスを利用してペーパーバック版の本もAmazonで販売していました。
PODは、素人でも手軽に本の製作ができます。表紙、本文のデータさえ入稿すればOK。しかも、イラストレーターなどの難しいソフトを使う必要もありません。
初めて作った紙の本を手にした時は、それなりに感動しましたが、一方で、つるっとしていてどこか味気ないような気もしました。
それに比べて、ZINEの製本はバラエティに富んでいます。
ポストカードになっているもの、カラフルな紐で綴じたもの、表紙がトレーシングペーパーで出来ているもの——。
ひと口に製本と言っても、色んな方法があるのだと思いました。
それに、私が出版した本よりもページ数が少ないのに、価格設定がちょっと高いのです。
価格帯は、本を出す以上、大事なポイントです。ノリで一回限りの本を作るのであればそれほど気にする必要はありません。ですが、継続して本を出したいと考えている人にとっては、ある程度利益を見込まなければなりません。そうでないと、本を作るための材料も、ネタも調達できなくなってしまうからです。
素人の本の価格帯は、Kindleであれば100円〜500円程度です。ジャンルにもよりますが、名の知れない人の本を買ってもらうのは難しいことです。書店に並ぶ本と同じような価格帯ではなかなか買ってもらえません。
ところが、ZINEは600円〜1200円くらいとKindle本の倍の価格帯でした。そして、不思議なことに、ZINEを目の前にすると、その値段は決して高くは感じないのです。誰が書いたか分からない薄い冊子が、1000円ですと言われても妥当だと思いました。
ZINEを眺めながら、その要因はなんだろう? と考えました。
もちろん内容の魅力もありますが、ZINEの価値は希少性にあるのではないでしょうか。
一般の書店では手に入らない、発行部数が少ない、という流通の希少性。大量印刷では実現できない凝った印刷や、製本の手法、といったデザインの希少性。
Kindle出版では、本の内容のことしか考えていませんでしたが、流通方法やデザインなど全て含めて本の価値が決まるのだと思いました。
