この度、小冊子「Follow me to the Sauna」を発売いたします。

Follow me to the Sauna
サウナで出会う人々、サウナで味わう至極の体験を、短歌という日本古来の文学で表現しました。
あひるちゃんが、あなたをサウナの世界に誘(いざな)います。
短歌で味わう、ディープな疑似サウナ体験をぜひお楽しみください。
2022年3月23日からZINE専門店MOUNT ZINEにて販売開始!
※リアル店舗、オンラインで購入可
発売を記念して、ZINEが出来るまでの工程を振り返ります。

ZINEってどうやって作るんだろう
ZINEには、本の価値を高める要素が詰まっていると知った私は、まずはZINEを作ってみようと思いました。ところが、過去に製本をした経験はほぼありません。
漫画やイラスト、小説を書いている人の中には、学生の時から同人誌を作る人もいます。そういう方の行動力を、心から尊敬します。
私の学生の時の口癖は「めんどうくさい」でした。三者面談で、母親が先生に「この子はすぐにめんどうくさいと言うんです」と相談をしたくらいなので、相当「めんどうくさい」と口にしていたのだと思います。
そんな具合だったので、イラストや詩のようなものを書くことは好きでしたが、同人誌を作ろうなんて思ったことがありませんでした。
同人誌を作るのってすごいな → どうやって作っているんだろう → わからないな → めんどくさいからいいか
何に対しても、このような思考回路でした。
結局、私のめんどうくさいはその後も続き、だらだらとクラゲのように進学し、社会へ流れ出ていくのですが——。その話は、また機会があれば。
話を戻すと、ZINEを作ろうと思い立ったものの、作り方が全く分からない状態でした。
原稿はどんな形式で用意するのか?
印刷所に頼んだ方が良いのか?
どんな紙を使えばいいのか?
表紙はどうやって作るのか?
そこで、ZINEを初めて手に取ったショップ 、MOUNT ZINEが主催するZINE製作のワークショップに参加することにしました。
ZINEスクールに参加
MOUNT ZINEのスクールは、半年に一回開催しているようです。
2ヶ月間でZINEの構想から製本まで、ZINE製作に必要な知識を学べます。
1回目の講座では、ZINEの歴史や、製作の流れを教わり、たくさんのZINEを実際に読ませてもらいました。
その中で気に入ったのは、台湾の方が製作したイラストのZINEです。厚手の紙に、活版印刷をしていて、印刷の風合いがとても素敵でした。
活版印刷は、活字などの金型を並べて、凸面にインクをつけて印刷する方法です。紙が金型の形に凹むので、手触りがあっておもしろい印刷方法です。
そのZINEは、じゃばら式になっていて、全ページを伸ばして眺めたり、屏風のように立てて飾れるようになっていました。また、ページを切り離すとポストカードとしても使えます。
こんな本、見たことがありますか? ZINEで表現できることの幅広さを感じました。
デザイン性があるだけじゃないか? と思われた方もいるかもしれません。ところが、ZINEのデザインからは、作り手の人となりが伝わってきます。それも、ダイレクトに。
例えば、表紙の一部をカットしているZINEがありました。一冊ずつカットの仕方が違うのだそうです。そのZINEを手にした時、作者はどんな気持ちでこんな風に紙をカットしたのだろう、と想像しました。
大胆にカットしてあれば、サバサバした人なのかもしれないと想像します。やわらかくカットされていれば、穏やかな人なのかもしれないと想像できます。
食パンのアレンジレシピを載せたZINEでは、曜日ごとにひとつのアレンジが載っていました。作者はなぜ水曜日のパンをこのアレンジにしたのだろう、と想像します。この人にとって、水曜日とはどんな位置付けなのかが伝わってくるようでした。
本の内容だけではなく、製本の方法や構成にも表現を詰め込むことができるのです。
たくさんのZINEを見せてもらいながら、やっぱりZINEってすごいぞ! と感動しました。
ZINEの構想を考える
1回目のワークショップでは、ZINEの構想も考えます。
ZINEの内容は、サウナ短歌に決めました。
サウナ短歌は、私が始めた完全オリジナルの遊びです。サウナに入って、サウナの短歌を詠む。ただそれだけのことですが、サウナも短歌も好きな私に取っては、とても面白い遊びです。
私の構想は、こうです。
サウナ短歌を掲載する。短歌は、サウナに入店してから退店するまでの流れにそって並べる。
構想を発表し、先生や他の参加者からフィードバックをもらいます。
インクの濃度や紙の色でサウナの温度を表現するのはどうか? といった、自分では思いつかないアイディアをいただきました。
直接顔を合わせて、アイディアや感想をいただくのは、貴重な体験でした。オンラインでも、インスタにサウナ短歌をアップすると、いいねをいただけることがあります。それはそれでとてもありがたく幸せなことなのですが、対面では、より、見てもらえた! 表現を受け止めてもらえた! と実感しました。
創作をする人は、ぜひ実際に対面で感想を聞く機会をもつことをおすすめします。表現するモチベーションがあがります。
そして、他の参加者がZINEで表現したいことの話を聞くのも、刺激的で楽しい時間でした。
わたしがご一緒したチームは、イラストのZINEを作る人と、エッセイを載せる人、生け花を載せる人がいました。
この記事を読んでいるあなたは、どんなZINEを作りたいですか?
表現したいことが何もない人はいないはずです。毎日のランチをまとめたっていいし、スマホで撮った写真をZINEにするのもアリだと思います。なぜこのランチを食べるのか、なぜこの写真を撮ったのか、そんな人となりが分かるように構成すれば、あなたらしいZINEが作れます。