【サウナ短歌】下町のサウナ

私は、スパよりも銭湯が好きだ。

スパと銭湯の違いは、非日常か日常かの違いだと思う。
少しラグジュアリーでおしゃれな気分にさせてくれるのがスパ。銭湯は、家のお風呂の延長線にあるような感じがしてほっとする。

そして、銭湯には近所に住む常連さんがたくさんやってくる。

各家庭にお風呂があるのが当たり前になった現代で、銭湯に通う人なんているの? と思うかもしれないけれど、銭湯を日常使いしている人はたくさんいる。そのほとんどが高齢者だ。

銭湯で耳をすませると、高齢者たちが銭湯を日常使いしている様子がありありと伝わってくる。
数日見かけない仲間のことを心配していたり、日々の料理を教えあったり。銭湯を中心にして、街全体がひとつの家族みたいだと感じる。

たっぷりとした太ももを湯船のへりにダラリとかけて、熱い湯船に浸かる姿は、一見だらしなく見えるかもしれない。

でも、その使いこなしっぷりに至る、その人と銭湯の”家族の歴史”が垣間見える。
タコのように、からだの力がぐにゃりと抜けて、公衆の場であんなにもリラックスできるのは、銭湯が日常になっているからだ。

ホーム銭湯がない——つまり、ひとつの銭湯と長いお付き合いをしない、私には、家族の絆がまぶしい。

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この記事を書いた人

サウナ短歌の第一人者。サウナスパ・プロフェッショナル。公衆浴場コラムニスト。お問い合わせはインスタ・TwitterのDM、またはHPの問い合わせフォームからお願いします。

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