【旅エッセイ】信州しなの町 〜E7系と100系

※この記事は2019年9月の旅行を振り返っています。

今回の信州しなの町の旅もそろそろ終わり。あさまE7系に乗って東京へと帰る。たった1泊の旅行だったけど振り返ってみるとなかなか濃い時間を過ごせた。
小布施の栗からはじまり、The Saunaでのサウナ体験、夜の野尻湖にも入ったし、LAMPの食事はおいしく、見た目もオシャレで楽しいひと時を過ごせた。友人とわたしのアレルギーには困ったものだけど、それを差し引いても長野は良いところだと思う。

エッセイには書かなかったけれど、実はロープウェイに乗って山頂の素敵なホテルで朝食を食べたり、山でトレイルランの大会に出くわしたりもした。そして戸隠神社。う~ん、ほんとうに盛沢山の信州しなの町の旅。

コロナの影響でマイクロツーリズム(近場の旅行)が注目されつつあると聞く。遠方へは行けないけれど悲観しなくてもいい。マイクロツーリズムだって、わたしたちはこれから良い体験がたくさんできる。長野に一泊でもこれだけたくさんの体験ができるのだから。

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あさまE7系がホームへ入ってきた。
駅ナカで買ったモンブランとコップ付きの小さな信州白ワインの小瓶を手に持って、美しい車体をうっとりと眺める。

新幹線をホームで待っていると、いつも子どもの頃の記憶をぼんやりと思いだす。

夏休みにはいつも東海道新幹線に乗って関西に住む祖父母に会いにいった。
まだ新幹線の鼻がまるかった時代だった。おそらく100系かな?
そういえばペットボトルの緑茶もなかったので、小さなポリ容器にはいった熱々の緑茶をフタにちびちびと移しながら飲んでいた。
そして、新幹線のカフェテリアが何よりも好きだった。

カフェテリアには木目調の販売カウンターがあって、ポリ容器の緑茶やお弁当、サンドイッチなどの軽食が売られていた。
でもわたしのお目当てはお弁当ではない。ほかほかのたこ焼きだ。
紙の容器に6個はいって500円くらいだったと思う。母からもらった硬貨をにぎりしめて、揺れる車内をカフェテリアまで何車両も歩いていく。たこ焼きください!と言うとカウンターの奥で(たぶん電子レンジだと思うが)温めてから手渡してくれた。熱でふにゃふにゃになった容器をささえながら夢中で食べた。


「新幹線のたこ焼きがいちばんおいしい!」と言うと、母はいつも眉毛を八の字にしながら笑っていた。栄養士の資格を持ち、毎日手作りの健康的なごはんを作っていた母からすると複雑な思いがあったかもしれない。

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最近はたこ焼きや肉まんなどのにおいの強いものを車内で食べるのはご法度だと聞く。たしかに自分が食べるときはいい匂いでも、強制的にかがされると気になる匂いだ。あの頃は、新幹線ってそういうものだと思って乗っていた。まわりの乗客も、新幹線ではたこ焼きの匂いがするものと思って乗っていてくれたことを願う。


たこ焼きの社内販売がなくなって、新幹線の丸い鼻もとんがって、わたしの子ども時代の記憶もだいぶ古くなってきたなぁと思う。
わたしの手元には600円もする高級モンブランと白ワイン。友人の手元にはアサヒスーパードライ。なぜ時速300kmで飲むアルコールはおいしいんだろう。

最後は信州とは全然関係のない話になってしまった。
これにて信州しなの町編は完結です。明日からはまた海外の話に戻ろうかなと思います。