【旅エッセイ】冬のウラジオストク 〜 野犬がいるExtreme Ways

※この記事は2018年12月の旅行を振り返っています。

今、わたし達は野犬に吠えられている。
ただの野犬ではない。ロシアの野犬だ。

おそロシア。
誰が言ったか分からないが、ロシア=恐ろしいというイメージがある。
ゾルゲ事件などのスパイ活動や警察がおか……これ以上は止めておこう。誰がどこで見ているかわからない。
とにかくロシアは恐ろしいというイメージがある。(人はやさしいですよ)

とにかく、今わたし達にむかって吠えまくっているこの野犬は日本のなまっちょろい野犬ではなく、おそロシア野犬なのだ。

ここはスクラップ工場だろうか。赤錆がびっしりこびりついた頑丈な扉が立ちはだかっているせいで中の様子をうかがい知ることは出来ない。けれど扉と地面の間にほんの少し開いている隙間から、野犬が鼻を出して何とかわたし達に噛みつこうともがいている。

鼻の大きさから扉の向こうに隠れている野犬のからだ全体を想像すると、おそらくドーベルマンぐらいの大きさがありそうだ。


何とか野犬エリアを抜けて見晴らしの良い場所に出たが、朝日に照らされたその場所はただの廃墟だった。

高台から金角湾とゾロトイ・モストを見下ろす

金角湾にかかるゾロトイ・モストという橋には通勤中らしき車がライトを照らしながら渋滞の列を作っている。ベッドタウンから橋を渡って職場があるウラジオストクの中心街へと車を走らせているのだ。
東京でも見られるような都会の朝の風景だ。

その一方で、高台の足元に広がる景色には社会主義の名残を感じた。

整備されていない崖には乱雑になぎ倒された枯れ枝や不法投棄されたゴミが −ロシアの法律がその辺に投棄することを禁じているかは分かりませんが− 転がっていて、海辺にたつマンションは収容所のような暗い色をして建っている。
港に停泊する船も、足元に広がる景色の全てにおいて資本主義の香りがしないのだ。

社会主義のなんたるかを知っているわけではないのだけれど、日本とも、ヨーロッパとも、東南アジアの諸国とも違う独特な空気を肌で感じていた。

おそロシアのバイアスがかかっているせいだろうか。
MobyのExtreme Waysのイントロが頭の中で鳴り響いていた。

Extreme Ways/Moby 
映画ジェイソン・ボーンシリーズのテーマ曲
作品のエンディングに緊張感を与えるイントロが特徴的な楽曲

https://www.youtube.com/watch?v=nBB2bPwKWVg

結局わたし達はGoogle Mapの道を見間違えていたので、来た道を途中まで戻って改めて鷹の巣展望台を目指した。


展望台についた頃には太陽がすっかり昇りきっていて、キリル文字を発明したキリル兄弟の銅像を明るい日差しの中ではっきりと拝むことができた。